山林の現状

POINT.01岐阜の山を守る

日本では間伐などの手入れがされず、荒れている森林が目立っています。岐阜県も例外ではありません。 写真:手入れがされている森とされていない森比較
画像の左側半分の森林は適切な手入れがされておらず、荒れてしまっている。

山を守り育てるサイクル

日本の森林を、森林が成立した過程で分類すると、自然の力によって発芽し、育った「天然林」と、人の手で植えられた「人工林」に分けられます。
「人工林」は、スギ、ヒノキ、カラマツ、アカマツ、クロマツ、エゾマツ、トドマツなど、比較的成長が早く、建築用途に適した針葉樹林からなります。
木材資源としての生産のために、人の手で作られた森林です。
第二次世界大戦後の復興期から高度成長期にかけて、経済価値が見込めることから盛んに植栽が行われました。
人工林は、適切に管理して手入れをしていく必要があります。
しかし、これらが手入れをされずに放置され続けてしまったことで、現在はたくさんの森林が荒れてしまっています。
荒れた森林は、太陽の光が地面に届かず薄暗いため、地面に草はほとんど生えず、栄養が行き届かない木はひょろひょろと細く建物や道具の材料にすることができません。
また、生きものが住みにくい森林となり、固くなった土は大雨の時に洪水や土砂くずれを引き起こすなど多くの問題を生み出してしまいます。

人工林も天然林も目的や生育過程に違いはありますが、日本の国土に必要な森林です。

長い目で見守り、木を消費しながら上手に共存できる事が人にとっても森にとっても自然にとってもプラスになります。
森林は以下のような流れで育てられ、木材として商品化され、みなさんの生活に活用されています。

山林の現状

POINT.02地産地消のメリットを
林業に取り入れる

食べ物のイメージが強いこの言葉。
そのメリットを林業・里山保全に当てはめて活動につなげていく。 写真:八百津町福地にて
岐阜県の天然木を使った、シンプルな構造の家

地元で生産されたものを地元で消費する「地産地消」という言葉は、地元で採れた農作物を活用した料理・特産品として紹介されることが多いと思います。
「地産地消」に取り組むことは、将来に伝えていくという形で地域の文化、生産と消費の関わりや伝統的な食文化について理解を深める絶好の機会となっています。

地産地消のメリット
  • 1いつ、どこで、どんな人が作ったものなのかがはっきりとわかるので、買う側が安心できること。
  • 2農作物を、採れたその土地で食べるので、輸送距離が短くてすみ、輸送中に出る排出ガスも少なくなる。
  • 3気候や風土にあった植物は、環境・自然の力で豊かに育つため安全で品質が良い。
木材も同様に地域で伐採したものを、その土地で建築に活用することは画期的なことです。

地域内の物質循環といった観点から見ても、運送料に多額の費用がかかる木材は、輸送距離が近ければ近いほど有利ですし、健康的に育った品質の良い自然素材の活用は、健康的で環境にやさしい家づくりにもつながっていきます。

これまでの木材価格と天然素材の活用

POINT.03これまでの木材価格と
天然素材の活用

これまでの国産の木材価格暴落の経緯は、外国の木材が安いということで、日本の木材が使われなくなったということなのですが、今は、価格は外国のものも日本のものもほとんど変わりません。

木材が高かった時代は、昭和55年、1980年。ヒノキの丸太が14~22cmくらいですが、平均単価で76,400円/㎡。 それが令和元年、昨年は18,100円。1/4以下。
実際は細いモノや曲がったものも売られているのでもっと下がっていて、当時の1/5くらいの値段になっていました。

ここまでの価格の暴落は、外国の木材との価格競争だけが原因ではありません。
日本人が住宅に使用する木材に求める品質、機能の変化にも大きな原因があります。
昔は建築用材として、垂直で目の詰まったものなど、品質の良い天然木を好んで使用する傾向があったので、一定の基準を満たした良い木材は高値で取引されていました。
ところが、現在の住宅に使用する木材には、品質の良さや天然木であることなどは今はあまり求められません。
目が粗くてもガサガサでも、立派な良い木材と同じ値段になってしまっています。
なぜなら今の家は、よっぽど良いものを使いたいお宅は別ですが、柱は壁の中に隠れていて見えません。
見えるのは料亭旅館、あとはそれぞれのお宅に1部屋ずつあるかな、という和室くらいです。

現在の壁と柱によって建てられた住宅には、かつて大型の日本家屋を支えていた「大黒柱」は、必要ありません。
デザインの一部として大黒柱を立てる場合もありますが、本来の、建物の中央で家を支えるという役割を持たなくなりました。
そのため、柱そのものにかかる大きな負荷に耐えうる立派で品質の良い木材に、商品価値を感じなくなってしまったということも国産木材価格暴落原因のひとつと考えられます。

山林の現状

POINT.042020年以降
ウッドショックの影響

世界的に大きな影響を与えている新型コロナウイルス。そんな中、アメリカで在宅需要の高まりを受けておこった“世界的な木材価格の高騰”。
日本の林業への影響は?

国内でも2021年に入ってからは、住宅建築などに使用される丸太や製材の輸入価格は上昇しており、この動きに引っ張られ、国内の丸太や製材価格も上昇しています。
住宅の建築等に使われる木材の7割弱が輸入材であることから、輸入材価格高騰をきっかけに、国産材へ切り替えを進めていくべきとの意見もあります。
しかし、国内林業は労働力不足、市場価格が維持できないなどの構造的な問題や国産材の性能では代替できないなど、簡単に国産材の供給を増やすことが難しいという課題を抱えています。

引用;経済産業省 「新型コロナがもたらす供給制約 ; ウッドショックの影響」
https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/hitokoto_kako/20210719hitokoto.html

これからの林業を考える

POINT.05これからの林業を考える

時代の変化に適応できる「林業」のあり方とは?
めまぐるしく変化する、世界の経済・気候の変化に対応していく「事業」のあり方を考える。

これは、時代の流れによって起こった状況とも言えますが、 2020 年1 月15 日に最初の感染者が確認されたコロナウィルス感染症拡大や、それに伴って起こったウッドショックと呼ばれる「世界的な木材価 格の高騰」など、この1~ 2 年の間にも山や林業にも関わる大きな世の中の変化は起きています。

2020 年7 月、2021 年8 月、八百津町ではダウンバーストと竜巻という、これまで想定していなかった自然災害被害がありました。これからも、良い変化も悪い変化も繰り返しながら、時代は流れて行くものだと思います。めまぐるしく変化していく状況の中「山が荒れ果てて行くのは、時の流れなのだから、しょうがないこと」と諦めてしまうのは、無責任に感じます。
『岐阜の山を守る』というゴールは変えることなく、そのために必要な方法を変化させながら、時代の変化に適応できる「林業」のあり方をたえず考え実行して行ゆく必要があるのではないでしょうか。